緊張で震えてしまうのは何かの病気なの?

人は多かれ少なかれ、緊張感が増した状態に置かれることで体の中の自律神経、つまり自分では動かそうとして動かしているわけではない神経のうち、交感神経が高ぶることで震えるという症状が出てきます。交感神経は例えば心臓は、興奮すると心拍数が上がったり、目では瞳孔が少し開いたり、血圧を上昇させたりと夜寝ているときより日中起きているとき、さらに興奮したり運動したりというような体が活発に動いているときによりその働きが増す神経です。その働きは心の変化とも密接に関係しているので、緊張感とか興奮といった感情・気持ちが交感神経を刺激し、じっとしていられない、手が震えるなどの症状が出てくるのです。ですから、ほとんどすべての人で緊張した時に適度に体などが震えることが病気とは言えません。ここで大事なことは「適度に」震えるというところです。中には、人前に立つだけで緊張してしまう、緊張感が耐えられず手足のガクガクが異常である人もいます。このような方は何らかの病気の可能性も否定はできません。
ではどのような病気が考えらるのでしょうか。その多くは、交感神経が精神と密接にかかわっていることからもわかるように、精神的な疾患が主なものとなります。その中でも最も頻度が高く、患者さんが多いと思われるのが社会不安障害という病気です。誰しも人生の中では緊張するものです。学生時代の重要な試合の前、入学試験の前などで緊張しない人の方が少ないでしょう。しかし多くに人がそれを克服し、イベントが過ぎてしまえば日常生活に支障が出ることはありません。しかし、社会不安障害の人はこのような重大なイベントだけではなく、例えば学校で人前で少し答える、発表するなどの経験を積んでも多くの人がなれるはずなのに、どうしても慣れられず、逆に自分にとって嫌だと思う状況があればあるほどより、緊張感が増してどうしようもなくなり、やがてそのような場面を避けるようになる、さらに避けてばかりになり日常生活にまで支障をきたしてしまうレベルまでに進行してしまうことがあるのです。患者の中にはこれはだれでもあること、病気であるという自覚がないまじめな人も多く、一人で我慢してしまい病状が悪化してしまうこともあります。悪化し続けたまま放置してしまうと、やがてその先にうつ病や自殺願望につながってしまうこともあるため、早期の心療内科や精神科の受診をした方が良いといわれています。
ほかにも、パニック障害という疾患の可能性も否定できません。こちらも精神的な疾患です。こちらは社会不安障害のような緊張感を感じたときだけでなく、日常生活の中で突然起きる動悸や心悸亢進、つまり自分で心臓がバクバクと早く拍動していることが感じられる状態、さらには過剰な発汗、そしてぶるぶる震えてしまうなどの症状があります。このような発作はパニック発作と呼ばれていて、数分から1時間程度続くこともありますが、やがて落ち着いてきます。この病気は先ほど述べた交感神経の神経伝達物質であるノルアドレナリンと、興奮を抑えるセロトニンという物質の脳内でのバランスが崩れてしまうことで起きると脳科学的には考えられています。患者自身も不安感が強いという特徴があり、病気という自覚があることも少なくないため社会不安障害よりは医療機関を受診されることが多いようです。
今までは精神的な疾患でしたが、そうでない場合も考えられます。本態性振戦という病気がそのひとつです。人前で字を書くときなど動作しているときに起きやすい、さらに緊張感などの症状はほとんど自覚していない場合が多いです。時にはあまり不安や緊張感は感じていないけれども、手が震えているので自分は緊張してしまっているのだと勘違いしてしまう人もいます。患者さんによっては震えが徐々にひどくなってくる人もいます。ちょっとしたことで手が震えてしまい、その症状が悪化してしまうと日常生活に支障をきたしてしまうこともあります。本態性振戦は比較的よくある疾患ですが、症状が悪化する場合は医療機関を受診することがすすめられています。大事なのは本当に本態性振戦なのかどうかをしっかりと診断してもらうことです。パーキンソン病や甲状腺機能亢進症という病気でも手の震えが起きることがあるからです。パーキンソン病も比較的頻度の高い病気です。パーキンソン病は芸能人やハリウッドの俳優さんでもこの疾患と闘っていることを公表している方もおられます。脳の黒質という部分の異常により、脳内の神経伝達物質であるドーパミンが減少して体の震えが徐々に進行していくのです。特に体を動かそうとしたときに震えが起きやすく、ほかにも筋肉が硬くなったり、表情が乏しくなったり、動き始めにくくなるなどの症状が伴ってきます。また甲状腺機能亢進症でも、手が震えてしまう症状以外にも、心拍数が上がったり、体重が減少したりのような症状が伴います。このように、緊張で手が震える、さらに症状が悪化するときには何らかの疾患が隠れていることがあります。気になるときには医療機関の受診がすすめられます。

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