緊張して震えるときは病院に行った方がいい?その時は何科?

震えの原因が明らかに緊張した時のみに起こって、リラックスしている時にはまったく震えないという場合は、ストレスなど精神的な要因によって発症していることが疑われますので、最初から心療内科や精神科を受診して治療を開始したほうが回復が早いと考えられます。とは言え、緊張した時に起こる震えの症状が子どもの頃から度々あって、社会に出てストレスを感じる機会が増えたことで症状が頻繁に出るようになったという場合は別として、大人になってから急に震えが出るようになってきたという場合は、背後に重大な病気が隠れている心配もありますので、脳や神経の検査が受けられるような設備のある医療機関を受診するほうが良いと考えられます。可能であれば心療内科などのほか、神経内科や脳外科があり、MRIなどの検査も受けられる総合病院で診察を受けるほうが、検査のため別の病院に行くことにならずに済みます。
病的な震えが無いかどうかを検査してもらいたい場合は、まずは心療内科や精神科よりも「神経内科」を受診します。震えは神経が筋肉を小刻みに動かす状態で、自分の意志とは関係なく手足が小刻みに動いてしまうのは筋肉を動かす神経そのものに何らかの原因があったり、脳から神経に伝わる指令の段階で異常が起こっている疑いがあるからです。神経内科は脳や脊髄、神経や筋肉の病気全般をを診る内科ということで、脳に異常があると判断され、手術による治療が必要と判断された場合は脳神経外科を紹介して、さらに専門的な検査をして行きます。
震えが起こる病気で最も知られているのがパーキンソン病と呼ばれる、脳の中の黒質と呼ばれる場所に存在するドパミン神経に異常が起こって発症する病気です。この病気は主に50歳代以降で発症しやすく、パーキンソン病気による震えは安静時に起こるのが特徴と言われます。緊張した時に震えが出る場合は他の病気が原因か、特に原因となる病気が無いのに震えてしまう本態性振戦と呼ばれる状態が疑われるようになります。振戦は震えを指す医学用語で、緊張した時だけでなく、何かを取ろうとした時に振戦が起こってしまい物をつかむのが困難になったり、キーボード操作で正確なキーが打てなくなるなど、何らかの動作を行おうとしたときに強い振戦が起こってしまう場合は、小脳に異常が生じたことで発生している疑いがあるとされます。特に、脊髄小脳変性症と呼ばれる小脳から脳幹、脊髄にかけての神経細胞が少しずつ破壊され消失していく病気の症状に小脳性震戦と呼ばれるものがあり、手などが目標に近付いていくほどに不規則に振戦を起こす症状とされ、目標に近付けば近付くほどその動くが大きくなると言われます。中枢神経系に異常が起こる多発性硬化症も何らかの動作を行おうとした時に振戦が起こる症状が出る病気の一つとされています。人前など緊張した場面で震えが強く起こってしまうと、緊張したことで出たものと判断してしまいがちになりますが、リラックスしている状態の時にも、何かをつかもうとして取り落としてしまうなどの異常を感じた場合は、すぐに神経内科を受診して必要な検査を受けておくほうが安心です。
病的な振戦では、脳や神経の病気や老人性振戦と呼ばれる加齢が原因の症状以外では、甲状腺疾患が原因で出て来ることがあります。バセドウ氏病とも言われる甲状腺機能亢進症の症状の一つに手足の小刻みな振戦があります。こちらも字を書こうとして震えが出て失敗したり、じっとしようとしていても足が小刻みに動いてしまうなど、緊張した場面で意識することが多いため、しばらく病的な原因に気が付きにくいことがあります。甲状腺機能亢進症は20歳から30歳代の女性が発症することが多く、振戦のほかは微熱や発汗、動悸や息切れ、食欲旺盛でたくさん食べるのに痩せて来るなど、症状の出方に一見関連性が無いように思えることから、甲状腺ホルモンの異常が原因とわかりにくい面があります。振戦のほか思い当たる症状があれば、血液検査を受けて甲状腺ホルモンの数値を確認してもらうことが大切です。
検査によって原因となる脳の病気や甲状腺疾患などが見つからない場合は、まずは一安心ですが、肝心の震えが治まらない場合は、特に原因が無いのに振戦が生じる本態性振戦ということで、それに対しての治療を模索することになります。緊張する場面で必ず震えが出てしまうという場合は、やはりストレスが大きな原因になっていると考えられることから、心療内科や精神科で精神安定剤などの処方を受けることで気持ちが落ち着いて、緊張した場面でもうまく対処できるようになり改善していくケースもあります。投薬治療による副作用が心配な場合は、時間はかかりますがカウンセリングや自律訓練法と呼ばれる心身をリラックスさせ緊張を緩める方法をマスターして対処していくという方法もあります。比較的副作用が少ないとされる漢方薬の中にも、振戦を抑える効能を持つ生薬が配合されている種類がありますので、漢方医や漢方薬剤師に体質を診てもらって処方を受けるという方法もあります。