緊張して手が震えてしまうのは病院で診てもらうべき?だとしたら何科?

普段リラックスしている時は全く震えは無く緊張した場面でのみ手が震えてしまう場合は、精神的なストレスが引き金になって症状が出ていることが考えられます。手に持ったカップなどを取り落としてしまったり、相手に不審に思われてしまうほどの極端な震えが出ている場合は日常生活に支障があるということで、迷うことなく病院で診てもらったほうが良いと考えられます。極度の緊張など精神的なストレスが原因と考えた場合、心療内科や精神科などメンタル系の診療科を思い浮かべる向きもありますが、震えの原因に病的なものが無いかどうか一度確認しておく必要があります。緊張が引き金になっていたとしても、脳や神経に疾患があることで自分の意志とは関係のない身体の動きが生じてしまっている場合があります。脳や神経に起こる病気には早期の治療開始が重要な種類もありますので、原因を調べるための問診や検査が重要になってきます。その場合、受診するべきは心療内科ではなく神経内科となります。
神経内科はメンタル面ではなく、脳や神経そのものに起こる病気を調べて治療する専門科です。脳から神経を伝わり筋肉を動かす働きに障害がある場合も当然この科が専門になりますので、自分の意志とは無関係に身体の一部が動いてしまう震えも心療内科の専門分野となります。緊張した時のみ震えが出ると自覚していても、大きな動きになったからこそ気になるのであって、意識していない時にも手足が小刻みに動いている可能性もあります。自己判断のみでなく、原因を明らかにしておくほうがその後の安心にも繋がります。特に原因となる病気が無いにもかかわらず震えの症状が出るという場合、心療内科では問診や必要な検査ののち病気が無いことを確認してから、本態性振戦という診断を下します。現に症状はあるものの原因となる疾患が見つからない状態を「本態性」と呼び「振戦」は震えを指す用語になります。本当に本態性振戦であれば事実上原因は不明ということで対症療法が行われるようになります。
本態性振戦の対症療法は代表的なものでは交感神経遮断薬であるベータブロッカーという薬を使った治療があります。高血圧や不整脈の治療にも使われて来た薬で、交感神経が出す神経伝達物質が受容体に届くのをブロックするため、効果は高いものの、めまいやふらつき、だるさなどの副作用があるとされます。低血圧や心臓の疾患、ぜんそくがある人や高齢者には処方されません。脳や神経の働きに直接作用する薬ではほかに、パーキンソンに使われる抗コリン薬があります。副交感神経の働きを活発化するアセチルコリンの作用を抑えてけいれん症状を鎮める薬です。抗コリン薬も口の渇きや胃部不快感、便秘などの副作用があるとされます。震えの引き金となる極度の緊張やそれによる強いストレスによってさらに自律神経が乱れるなど、メンタル面の対策が必要な場合は抗不安薬が処方されることもあります。眠気やふらつきといった副作用の心配があるほか、飲み続けないとすぐまた症状が再発しそうになるといった不安から、依存性が出て来る心配もあります。
症状や体質によっては、効き目が穏やかなぶん副作用も少なめとされる漢方薬が処方されることもあります。ベータブロッカー等は神経の働きに直接作用して効果を発揮しますが、漢方薬は自律神経そのもののバランスを整えて交感神経が過剰な働きをすることを抑える方向を目指します。薬の種類にもよりますが、効き目が出て来るまで早くても半月以上かかり、本態性振戦を劇的に治すのではなく体質改善の方向から症状を抑えることに繋げていきます。漢方の考え方では本態性振戦は血虚と呼ばれる状態で起こる症状の一つと考えられ、それに対する効能を持つ婦宝当帰膠や抑肝散が処方されます。抑肝散や抑肝散加陳皮半夏は緊張が原因で血虚を招いている場合に有効と考えられています。緊張を起こす精神的なストレスの緩和には加味逍遥散という薬もあります。漢方薬は市販品をドラッグストア等でも購入できますが、本来漢方医や漢方薬剤師に脈診等によって体質を見極めてもらった上で最適な薬を処方されてこそ効果を発揮することから、自己判断で本態性振戦と考えて服用を始めるより、やはり一度は神経内科で診察してもらうことが肝心です。
極度の緊張を感じる以外のシーンでも震えが出ている場合は、パーキンソン病や脊髄小脳変性症、多発性硬化症といった脳や神経の病気や、甲状腺機能亢進症といった内分泌系の病気が隠れている恐れもあり、早めの受診が必要です。脳や神経の病気と判明してさらに詳しい検査や治療が必要になることも考えた場合、神経内科と共に脳神経外科がある総合病院が良いと考えられます。メンタル面の治療も受けたい場合は心療内科や精神科もあったほうが安心ということで、可能であればそれらの専門科がすべて揃っている総合病院の神経内科を最初に受診するのが最良と言えます。

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